人によって与えられた恋愛今よりも、少しだけ古い時代のあるところに何事にも奥手の娘がいました。 ![]() この娘のお見合いを推し進めたのですが、その一方で、 人生に対する明確な目的を持たなかった娘の側もこれを承諾したのでした。 しかし、両親が「良い人だから。」と言って薦めた夫は結婚早々、 娘の親に借金を申し込んだのです。一同、これには呆れ返ったものの、 時代が時代であっただけに娘を簡単にバツイチとするわけにもいかず、 親子共々、当の夫が心を入れ替える日の訪れを待つことを選択したのです。 娘は連日、連携の取れない、主体性のない夫に怒りを感じるばかりでした。 そこで怒りを爆発させると必ずと言っていい程、間髪入れず、 婿養子であった夫は実家へと逃げ帰ってしまうのでした。 その上、自分から帰ってくることはありません。 何日も、平気で戻って来ないので世間体を気にした娘の両親が焦り始め、 即刻、お詫びをしてでも連れ戻して来い!と娘に命令する始末です。 娘は、こんな思いまでして連れ戻す価値があるのだろうかと思いつつも、 両親の怒りにも立ち向かえないので夫の実家を訪ねるしかありません。 毎回、この手順で夫は戻ってくるのですが、当然のことながら、 この手順を踏まないと戻って来なくもなりました。 それでも、何とか20年程は夫婦を続けて来たのですが、 娘の父親が亡くなると同時に夫(婿)は賭博に没頭し、 間もなく高額の借金を繰り返し始めたのです。 残された母と娘は揃って借金の尻拭いをしてはこの婿を諭しましたが、 自分の素行が悪くとも自動で妻を迎えによこされていた日々の中、 更なる男尊女卑の精神を強化していた彼には届かないのが女性の言葉でした。 結果、云千万の尻拭いをさせるだけさせておきながら、 彼は行方を完全に眩ませたのです。 その数年後、娘の母親にも寿命がやって来ました。 娘の手に残ったのはいずれ手に負えなくなる程の負の資産、 それから、早々に社会から退いたがための社会不適応でした。 娘の経験した恋愛の間にはいつもぎりぎりのところで彼女の両親や、 夫の両親がいました。そのために真の怒りをぶつけることも叶わず、 この娘と夫は真の夫婦になる機会を失ったのです。 仲良くあることは夫婦関係における究極の理想ではありますが、 真の親密性とは仲良く見せることに宿るものではありません。 娘自身もとい娘の親たちもまた、この夫を適切に突き放せなかったのは、 “自分たちの失敗を認める勇気”を扱えなかったためなのです。 “娘に相応しくない人物を確実に薦めてしまっても”尚、 この親たちは娘に問題の全てを投げ打ったのです。 夫の他にも、娘は実の両親からも孤立していたのでした。 AboutSite
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