ストレス解消法

天使ばかりでもいられない


「若いってそれだけでも、充分に素敵ってことよ。」
しばしば、私に向かって私の母はこう言いました。
私が思春期に突入したあたりから若年層をターゲットにしたブランド品戦略も始まり、
街角では、ブランド品を身につけていないと落ち着けない
ティーンエイジャーをよく見かけるようになりました。
しかし、私の母はこう語ったのです。
「近頃、高級品を身につけたりお化粧の濃い、学生さんをやたら見かけるけれど何だか、
 綺麗とか大人っぽいというよりも、私にはどうも、彼女たちが老けて見えてしまうのよ・・。

 ブランド品や厚化粧なんて実際に年齢を重ねて、
 若さという美しさを失いつつある人が、
 自信を補うために身に着ける一種の足掻き道具よね??
 あの子たちはあんなに早くからその鎧を着込んじゃうし、
 それこそ、恋愛らしい恋愛も未経験なはずなのに格好だけ、
 見事な大失恋を経験した女性のような姿をしている感じ。
 私は、そのあべこべにどこか気の毒を見てしまうの。

 今、鎧の下の大切な本物の若さを謳歌して欲しいと思う。
 だって、同じ時は二度と無いのだもの。


当時、私はこの言葉の真意を量りかねもしましたが、
奥手な私も社会に出て人間関係をより広く経験し、ふと我に返った際に妙に納得がいったのです。
私は、いわゆる装飾ギャルではなかったのですが、
それでも、若干、それに近かったであろう心境を味わった時期もあったのです。
言ってしまえば、それは恋愛関係のうまくいっていない時や、その直後のあたりでした。
奥手の私にも、妙に装飾に神経が敏感になった一時期があったのです。

しかし、その際の抜かりの無い外観への拘りはどこか、
“拗ねた化粧”と名づけるに相応しいものでもあり、
逆に言えば、人間的に酷く隙を失くしている感じでした。
この直観はあながち的を外したものでもなく、ある時、
装飾ギャルだったある人の話してくれたことには彼女というより、
彼女の両親において不仲の問題があり、その時の母親が用いた、
濃い目のお洒落を模倣していたと思うとのことでした。
女性にも、天使ばかりではいられない時があります。
男性にだって王子や騎士になれない、
自分を見つける瞬間がありますよね??

それらの鎧は自分を守ってもくれますが、私は、来るべき日のためにも、
“鎧の側に着込まれない自分”を守っておく姿勢の保持も大切だと思います。

AboutSite
(3)
Master - Sumi
Since - 10'07.21 / Check - IE6.0
Link Free